カンタン処理で青色65万円控除ができる方法
個人事業者の税務申告には、
「青色申告」と「白色申告」があります。
税務上、もっとも節税効果が高いのは、
「青色申告」の65万円控除です。
65万円も所得から控除できるのは、デカいです。
最低でも税金が、65万円×5%=3万2500円安くなります。
(税率40%の人なら、26万円も安くなります!)
ただ65万円控除を適用するには、いろいろと条件があり、
面倒くさかったり、敷居が高いと思ってる人も多いと思います。
65万円控除できる条件は、「青色申告書」のうち、以下の要件を満たす必要があります。
「事業的規模」というと、
サラリーマンが副業としてやってるのはダメなの?と思うかもしれませんが、しっかり継続して事業として行ってるならOKです。
やっかいなのは、「貸借対照表を提出すること」です。
これ、複式簿記で記帳をする必要があるってことです。
実は、アフィリエイトをやってると、まともにこの複式簿記を
やってると、結構煩雑で大変なんです。
売上は、各ASPで締めのサイトが違うし、
5000円超えないと入金されなかったり、
返品とかで承認されなかったり、
支払いは、カードを使ってると、引き落とし日は
だいぶ先だったり。。
きっちりやろうとしてる人ほど、経理がぐちゃぐちゃになって、
「もう、イヤ〜!!」
となってしまってるかもしれません。
でも、あきらめないでください。
カンタンな経理方法で「65万円控除」を可能にする方法があるんです。
それが、
『期中現金主義、期末発生主義』
という考え方です。
期中現金主義、期末発生主義という方法
経理の方法で、一番簡単な方法は、現金(または普通預金)の入金・支払いの都度、経理処理を行う方法だと思います。
いわゆる「現金主義」という経理方法です。
ですが、この方法が使えるのは、
青色申告者のうち、税務署に事前に届出を行った小規模事業者(※)のみですし、青色控除額も65万円でなく、10万円になります。
⇒国税庁HP「現金主義による所得計算の特例を受けるための手続」
※小規模事業者とは、その年の前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額(事業専従者給与(控除)の額を必要経費に算入しないで計算した金額)の合計額が300万円以下である方のことです。
65万円控除の適用を受けるには、「現金主義」ではなく、「発生主義」である必要があります。
では、どうしたらよいのか。
そこで出てくるのが、
『期中現金主義、期末発生主義』
という方法です。
これは、その名の通り、期中においては現金主義を用いて、期末のみ発生主義にするという考え方です。
具体的には、
例えば、その月の売上の入金が翌月になる場合は、
10月入金時に、10月に売上計上
11月入金時に、11月に売上計上
12月入金時に、12月に売上計上
という風に、現金主義でとりあえず処理しておき、加えて、12月に発生した売上を売掛金で計上するということです。
12月は、入金時と発生時の2回分の売上が計上されるということになりますね。
同様に支払いにおいても、毎月の分を翌月に支払うようなものがある場合は、
10月支払時に、10月経費計上
11月支払時に、11月経費計上
12月支払時に、12月経費計上
という風に、現金主義でとりあえず処理しておき、加えて、12月の経費を未払費用として計上するということです。
期中の処理が現金ベースになるだけで、かなり経理負担は軽くなるはずです。
ただし気をつけないといけないのは、
翌年に「洗替」の処理をしないといけないということです。
「洗替」って何かと言いますと、、
この「期中現金主義、期末発生主義」をした場合、
前年分で、翌年になって入金されたり、支払ったものは、その年の売上や経費ではないので、
その年の決算のとき(または期首)に取消しの処理をしないといけないんです。
そうしないと、13ヵ月分の売上や経費計上になってしまいます。
かな〜り分かりにくいと思いますので、具体例を挙げますね。
毎月100円の売上があり、それが翌月に入金されてくると仮定します。
この「期中現金主義、期末発生主義」の処理方法を、×1年10月から開始したとします。
◆×1年の処理(10月より毎月売上100発生、翌月入金)
◇10月
売上100円発生…入金は翌月なので、この時点では処理なし
◇11月
普通預金100/売上100 ←10月分の入金 ※現金主義
◇12月
普通預金100/売上100 ←11月分の入金 ※現金主義
◇決算時
売掛金100/売上100 ←12月分の売上計上
※ここで発生主義を併用
◆×2年の処理
◇1月
普通預金100/売上100 ←12月分の入金 ※現金主義
◇2月
普通預金100/売上100 ←1月分の入金 ※現金主義
◇3月
普通預金100/売上100 ←2月分の入金 ※現金主義
…(中略)
◇11月
普通預金100/売上100 ←10月分の入金 ※現金主義
◇12月
普通預金100/売上100 ←11月分の入金 ※現金主義
◇決算時
売掛金100/売上100 ←12月分の売上計上
※ここで発生主義を併用
このままでは、×2年は13カ月分の売上が計上されてしまいます。
なので、、
1月の入金時の売上計上は、前年12月の売上分ですので、これをこの年の売上に含めてはいけませんので、これを取り消す仕訳をします。
売上100/売掛金100 ←1月に計上した売上の取り消し
つまり、×2年度の決算時には、
売掛金100/売上100 ←この年12月発生の売上
売上100/売掛金100 ←昨年決算時に計上したものの取消
の2つの仕訳を入れることになります。
これを「洗替」(あらいがえ)って言います。
まぁ、用語はどうでもいいのですが、この処理をしないと、重複計上されてしまいますので、気をつけてください。
重複処理や計上漏れ。
毎月発生なのに年間で13ヵ月計上されていたり、11ヵ月計上だったり。
そんなことのないように注意してくださいね。
この洗替の方法は、上記のように、
期末に2本の仕訳を入れてもいいですし、
取消仕訳は期首に入れたり、
1月の入金時のみは売上計上せずに「売掛金の回収」処理にする等、
いろいろな経理方法がありますが、どれでも結果は同じです。
処理しやすい方法でしていただけたらと思います。
もちろんこの方法は、経費の支払いにおいても使えますので、期中はかなり経理処理がラクになるはずです。
ただし、デメリットもあります。
期中での利益の把握が難しくなる点です。
「経営」をしていく上で、期中において、いま、儲かってるのか、どの程度の利益が出ているのか、わからないという状態は、あまりよくないですよね。
なので、
ある程度、事業規模が大きくなってきたら、やはり、原則通り、毎月の発生主義で経理処理することが望ましいです。